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英国の鉄道事情(National Rail)に関する留め書き

※個人的なメモ書き程度のまとめなので、理解が不十分で内容が不正確な箇所があるかもしれません。
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(1)運営方法

 基本的に設備・車両の保有と運行を一社が担う日本と違い、イギリスでは全てが分かれている。現在National Railのブランドを使うイギリスの鉄道の大半を占めるのは、元々国鉄の路線であったが、1994年から1997年かけて段階的に民営化された。現在は施設をNetwork Rail社(運輸省管轄の公社)が保有・整備し、Angel Trains等の会社が車両を保有して運行会社にリースし、Virgin Trains等の運行会社は一定期間の営業権を入札で獲得している。フランチャイズ契約は基本的に数年間なので、更新されないと運行会社が変わり、その度に車両側面の外装が変わる。
 入札自体はイギリス政府からの補助金の少なさをベースとしているため、運賃が安くなることはないばかりか、むしろ高止まりしている。しかも多数の会社が入り乱れるため、効率化には程遠く、遅延や運休は日常茶飯事で、争議行為も頻発している。民営化直後は大事故が頻発したが(例:Ladbroke事故Potters Bar事故)、近年は比較的落ち着いている。
※Ladbroke事故は、まるで三河島事故を彷彿とさせる内容であった。日本人鉄道ファンとしては、このような事故が20世紀末期に起きたこと自体が信じがたい。Potters Bar事故は線路の整備不良による脱線事故だった。保線の不手際が原因の死亡事故は散発的に発生している。


(2)動力事情

 諸外国(ヨーロッパの先進国)に比べても電化率は著しく低い。更に政権交代の度に国鉄の政策が変更され、労働党政権時に電化計画が定まったものの、保守党政権下で白紙撤回された例も多い(Birmingham–Peterborough lineなど)。結果として、電化率は旧国鉄路線で未だに4割を切っており、他の先進諸国に大きく水をあけられている(日本は7割弱)。そのため気動車が多く、日本では少ない電気式気動車及び電気式ディーゼル機関車が発達している。更に長距離列車用の一部にはバイモードと呼ばれる車両があり、これは電気式気動車をベースとしつつ、電化区間ではパンタグラフを使用する。電化方式は、基本的には架空電車線交流25000V・50HZだが、ロンドン近郊からイングランド南西部にかけては第三軌条直流750Vとなっている。交直両用電車は、パンタグラフと集電靴の両方を装備する。


(3)車両事情

 軌間は1435mmで新幹線や京急と同じだが、車両は日本より若干長く、1両当たり概ね23mくらいである。なお、幅や高さは日本とほぼ同じ。基本的にイギリスの鉄道車両は前面を警戒色にすることが定められているが、前照灯に高輝度LEDを採用した車両は特例が認められるとのこと(但し現在はまだごく僅か)。国鉄時代に製造された電車や気動車は客車の設計を基にしている例が多く、前面は真四角平らでデザインが良く似ている。
 電車の駆動方式として特筆されるのは、日本ではJR及び大手私鉄からとうに姿を消した吊り掛け駆動が未だ多く残っていることである。轟音を立てながら最高速度160km/hを出す姿も珍しくない。制御方式は抵抗制御、チョッパ制御、GTO-VVVF制御、IGBT-VVVF制御があり、ここは日本と大差ない。ちなみに私は、チョッパ制御は地下鉄以外で見たことが無い。なお、動力分散方式を長年採用してきたためか、編成中の動力車は日本より少ない印象で、旧型車両でも1M3Tを組む例がある。
 扉は片側2か所が基本。車内は原則全てクロスシートで、ドアはボタン式半自動である(プラグドアが多い)。立体交差が主で日本より踏切の数が非常に少ないことから、どの車両も日本より最高速度は高く、多くの場合160km/hとなっている。
 電車及び気動車の場合、車両の番号は基本的に6桁程度の数字を用いる。ハイフンなどはなく、6文字連ねるか3文字ずつに分けてある。規則性が無いわけではないようだが、パターンを把握するのは非常に難しい。国鉄~National Railの車両は、頭3桁が形式名となっており、動力によって番号帯が使い分けられている。
 新車の投入等で置き換えられたからと言って、直ちに廃車を意味するわけではない。他の運行会社に貸して、他の路線に転用されるケースが多いからだ。解体かと思われた車両が、全く意外な場所へ転属するケースも多く、しかも電車から気動車に改造されたり、旅客用から貨物用に回されるなど、日本では考えられない転配も時折行なわれる。ちなみに、車両の寿命は概ね30年から40年程度とされている。


(4)切符事情

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 一応速達列車や各駅停車といった一定のパターンは存在するが、日本のような「普通列車」や「特急列車」という厳密な種別の区別はない。特急券という概念もなく、基本的に有効な乗車券があればどの列車に乗っても良い。車内放送や旅客案内設備は日本と比べて非常に貧弱なので、乗車前に停車駅の案内をよく確認する必要がある。
 運賃は時間帯や時期によって大きく異なる。平日ラッシュ時は非常に高額だが、土休日は大幅に安くなるケースも多い。したがって、バスの方が一見安く見えたとしても、バスステーションへの行き帰りにかかる時間及び費用を加味すると、鉄道を利用した方が良い場合も少なくない。ちなみに自動券売機の信頼性は低く、紙幣を飲み込んだまま切符を出さないことも多いため、現金で購入するなら有人の窓口で買う方が無難。
 ロンドンのように、同じ街に複数の駅がある場合は、どのルートでどちらの駅を使っても良い場合がある(もちろん一定の範囲内で)。但しHigh Speed 1を走行する高速列車については、運賃が別体系となっている。High Speed Trainを使えるかは券面に記載がある。


(5)運行事情

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 列車の遅延は15年前と比較して改善されたとはいえ、まだまだ定時性には難がある。設備故障が頻発するのみならず、「仕業検査の遅れ」「乗務員不足」といった、日本では考えられないような理由で運休になることも多い。更に、発車間際になるまで着発番線が表示されなかったり、突然変更されたりすることもザラである。最近はインターネット上に運行情報がリアルタイムで載るので、以前よりは格段に情報を手に入れやすくなった。なお、30分以上遅れた場合は後で払い戻しを受けられるサービスもあるが、手間がかかるのであまり割に合わない。
 この国では、保線工事による計画運休が非常に頻繁に行なわれる。最も目立つのはロンドン地下鉄およびOvergroundだが、National Rail各線でも時々発生する。また、ストライキによる終日運休も多い。いずれも、ウェブサイト上に「今週の予定」が告知されるので、常に確認しておかないと思わぬところで立往生することになる。


(6)撮り鉄事情

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 日本と比べると、鉄道写真撮影の難易度は高い。踏切の数が少なく、フェンスが低くて線路際に近寄れる場所も少ない。ホーム端でカメラを構えようにも、ガーダー橋のある駅が多い。都市部であっても雑草などの手入れがされていない場合も多く、障害物も少なくない。ロンドンのターミナル駅の場合は、大抵ホームが大きくカーブしており、バルブ撮影を試みても編成全体が入らない。遅延が常態化していることも当然マイナスに響く。
 ロンドン市内を始め、主要駅では自動改札機の設置が急速に進んでおり、ホームで写真を撮るのは15年前より難しくなった。しかも、大きな駅ではホーム別に自動改札機が設置されていることが多い。ロンドン近郊だとオイスターカードの時間制限が厳しく、すぐに罰金を引かれてしまう。したがって、一見割高でも紙の切符を買った方が安くつく(紙の切符に入出場の記録は付かない)。入場券は10p程度とかなり安いが、最近は取り扱いを廃止した駅も多く、まだ残っている駅でも有人窓口で買わなければならない。そして、この入場券は自動改札機を通れない代物なので、毎回近くの駅員に通してもらうよう頼む必要がある。したがって、それなりの英語力が要求される。
 なお、イギリスの鉄道ファンは日本の鉄道ファンよりも写真を撮るのが下手。Googleで検索をかけても、先頭2,3両だけが変な角度で写った悲惨な写真ばかりがヒットし、たまに良さそうな編成写真を見つけてサイトを覗いてみると、日本人が撮ったものというパターンが多い。撮影環境の厳しさが影響しているのかもしれないが、それにしてもレベルが低い。
 日本みたいに「ドン曇り」「串パン」「面串」「ホームが写っている」等いちいち気にしていると、何も撮れなくなる。短期間で車両の塗装がコロコロ変わる国なので、何でも良いからとりあえずカメラを向けよう。妥協するのも大事。



2018.11.10追加
2018.12. 3加筆
2018.12.18画像追加
以下加筆予定
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KHKQ

Author:KHKQ
横浜→東京→多摩→倫敦
京急を中心に広く薄く撮影
鉄道趣味はお休み中…なのだが?

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