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国鉄色の特急と他社借入による代走

昨日(5日)、国鉄色の特急を1本撮ろうと思って用事ついでに出かけたところ、予想していなかったネタが短時間で2つも網にかかりました。8日連続のダイヤ乱れの影響でしょうか、詳細は不明ですが少々珍しい代走が撮れました。

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King's Cross駅に入ってまず目に留まったのは、East Midlands Trains社のInterCity 125。ここのInterCityはLNER社が独占しており、East Midlands Trains社の車両はここに来ることはありません。調べてみると、LNER社が1編成まるまる借りて運用しているようです。但し、予備扱いのため毎日動いているわけではない模様。
日本で言うなら、京都の485系を「いなほ」に使うようなものでしょうか。ちょっと例が強引だったかな(笑)

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LNER社のInterCityは鮮やかな赤が基調の塗装ですので、寒色のInterCity 125をここで見るのは久しぶりで少し新鮮な気がしました。ただ、鉄道ファンとしては少し嬉しい代走も利用客からは不評で、Wi-Fiやコンセントが無いと不満が出ているようです。私としては、車齢40年超の旧型車両にWi-Fiやコンセントがあることに驚きましたけどネ。

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続いてやって来たのは、本命InterCity 125の国鉄色。Swallow Livery(ツバメ塗装)という名前で、1988年の登場から1996年までこのカラーだったそうです。デビュー30周年記念と、日立製新型車両投入による置き換えが迫っていることを受けて、先月塗り替えられました。ただ、編成全部を塗り直すことはせず、残念ながら91形機関車1両のみで編成美を損ねています。ところでヘッドライトの真ん中白く塗りつぶしてあるけど、何か見せたくないものでもあんの?

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入れ違いで到着した列車に何やら違和感を覚えたので見に行ってみたところ、91形ではなく90形機関車が付いていました。English, Welsh & Scottish Railwayという貨物の会社の機関車です。91形に似ていますが、全長が短いし足も遅い。本来200km/h走行する列車に最高速度177km/hの機関車を付けている時点で、定時運行を最初から諦めているようにしか見えないです。まあ比較的短距離かつ停車駅の多い運用に入っていたので、影響は少ないのかもしれませんが。
このEWS社の機関車を借りて代走させるケースは時々あるみたいです。日本で旅客列車をJR貨物の機関車が代走牽引したケースってそうそうないですけど。いやはや、なかなか面白いものですねぇ。

東海岸本線では先週来、信号等設備故障や車両故障のみならず、主要駅全体が長時間停電するなどのトラブルが頻発。遅延・運休に加えて主要駅の全列車通過など、連日ダイヤが大幅に乱れています。この日も着発線変更により混乱している様子で、旅客もスーツケースを持って走り回っていました。相変わらずイギリスらしさをいかんなく発揮しております。まぁ鉄道オタクとしては、僅か30分ほどの間に色々面白いものを見ることが出来て、ちょっと楽しかったです。特に他社車両による代走は、うんと珍しいものではないのかもしれませんが、なかなか狙って撮れるようなものではないですからね。
ちなみに、別の日にInterCity 125の国鉄色を撮ったのですが、その話はいずれまた折を見て。


<おまけ>
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待っている間にHull Trainsのクラス180気動車が来ていたので1枚撮ってみました。15年前の同社は白と緑のツートンカラーという結構センスの良いデザインだったのに、今ではこんな色になっちゃったのですね。一瞬グラフィティの被害に遭ったのかと思ったくらいです。180形気動車はGrand Central社の黒の方がずっと似合っていると思います。

地下鉄の最新鋭と最古参

2018.12.2 本文加筆しました


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小型車両と大型車両の並走を狙うも失敗した図。夏場に再チャレンジかな。

先週末は、下手したら今年最後の快晴ということで、思い切ってカメラを持って出かけてきました。目的は地上区間を走る地下鉄車両です。ロンドン地下鉄は地上を走る区間が半分強と意外に多いのですが、撮影に適した場所はなかなか見つかりません。しかも、今は冬で影が日本以上に伸びますから、都市部での鉄道写真撮影はなかなか困難な印象。
ロンドン地下鉄にはトンネルの規格が大きく2種類あり、車両のサイズも大小の2種類があります。「チューブ」の愛称がピッタリなのは小型車両で、なかなかかわいらしい外観です。空調設備もないため居住性は最悪ですけど。ただ、1960-70年代製造の暗くて汚いボロ電車ばかりだった15年前と違って、今では新車の投入でマシになった路線も増えています。


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まずは、地下鉄と言うより郊外電車に近いMetropolitan線のS8ストック。前回この路線に乗ったときはA60・62ストックという古くてガタガタの大型車両が走っていましたが、S8形の投入により2012年に引退したそうな。同形は冷房付きクロスシート車両なので、なかなか快適です。ただし、なぜか最高速度は年々引き下げられています。

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続いてJubilee線の1996ストック。丸い屋根が非常に目立ちますね。小型車両は基本的に登場年を形式名にするので、非常に安直分かりやすいですね。前面上部を中心に傷んできています。去年から更新工事が始まったそうな。
この辺は夏場にもう一度リベンジする必要がありますね…なかなか良い場所が無い。

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バスで移動して、個人的に一番撮りたかったBakerloo線の1972ストックを撮影。特に思い入れがある車両というわけではないのですが、このスタイルは撮っておきたかったのです。2010年から各線で新形式による置き換えが進行した結果、今やこの1972形がロンドン地下鉄最古参となりました。1960年代後半頃流行ったスタイルですね。

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Bakerloo線の地上区間は、Watford直流線との共用区間になっているので、時々Overgroundのクラス378が来ます。1972形と比較すると大きさが随分違います。地上設備は大型車に合わせてあるので、1972形とはホームとの間に結構大きい段差が生じます。こういうことをやってるから、この国ではバリアフリー化が全然進まないのです。

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これ健常者でも結構怖いよ。駅構内も階段だらけだし、ホームドアはJubilee線の一部区間を除いてほとんど設置されていないし。駅員もいないから車椅子の人はお手上げですね。バリアフリー化は日本の方がずっと進んでいます。

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1972形の出庫便を1枚。老朽化に加えて落書きが多く、内外共に荒廃している編成が多いので、綺麗な電車が撮れるまで暫くかかりました。なお、この路線への新車投入は延びに延び、現時点で1972形は2026年までの継続使用が予定されています。5年前は2019年全廃と言っていたのに…最近延命工事を施したらしいですが、全然ボロさを隠しきれていません。

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帰りに少し寄り道して、Hammersmith & City線のS7ストックを撮影。2012~17年に投入された最新鋭で、S8形とほぼ同一形式ですが、編成両数と座席が異なります(こちらは全てロングシート)。かつてはCircle線・Hammersmith & City線・District線で多種多様な形式が入り混じっていましたが(追記参照)、S7形はそれらを一気に置き換え、3路線共通運用となっています。個人的に、1980年代製造のD78ストックまで全廃に追い込んだのはかなり意外でした。


こんな感じで撮影は終了。移動時間を含めて午前10時から正午までの僅かな時間だけでしたが、だいぶ楽しくカメラを構えることが出来ました。ロンドン地下鉄は世界最古の地下鉄であり、唯一の第四軌条方式であり、半円状の形状に外吊りドアと面白い点がたくさんありますので、こちらに滞在中に何回か撮りに行きたいと思っています。なお、一応事前に下調べをして慎重に行動したつもりです。昼間なら比較的まだ危険性は少ないとはいえ、治安上の懸念もあることから、観光ついでにふらっと撮れるほど甘くは無いと思います。ということで、撮影地は書かないでおきました。ま、ロンドン地下鉄を撮りたいと思う人はほとんどいないでしょうし、在住者なら書かなくても簡単に分かると思うので…(笑)

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カンタベリーでの撮り鉄 旧型客車から高速列車まで

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架線が張られていないから、パッと見ると非電化区間かと思ってしまう。

カンタベリーには、Canterbury EastとCanterbury Westの2駅があり、所属路線が違います。共通なのは、いずれもLondon Victoria発着の列車が設定されており、第三軌条の直流750V区間であり、Southeastern社の電車が来るということです。そして、City Centreに近いのは東駅ですが、ロンドンからの所要時間は西駅の方が圧倒的に短いです。
先週の小旅行ではせっかくなので両方の駅を使い、少しだけ列車にカメラも向けました(笑)


往きはVictoriaからクラス465にちょうど100分乗車して東駅へ。先日書いた(書き足した)通り、イギリスでは「普通」や「快速」といった種別の概念がありませんが、私が乗ったのは停車・通過駅の割合から見て快速相当でした。この国の中距離列車のほとんどは、ロンドン近郊では多くの駅を通過し、末端区間に近づくと停車駅が増えます。

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東駅に着いて少し撮影開始。まずはクラス375の4+3連。新しい車両かと思いきや、1999年登場と意外にベテランで、最近更新工事を受けたそうな。ボンバルディアが製造するエレクトロスターシリーズの1つで、この前面デザインは姉妹形式を含めてロンドン近郊路線では至る所で見ることが出来ます。日本で言えばE231系的な存在でしょうか。

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次に来たのは、クラス466+465の6両編成。両形式の違いは実質的に編成両数だけ。この2形式は足が遅くて、最高速度120km/hしか出せません。先のクラス375が2000年代の顔なら、こちらは1990年代前半の顔で、国鉄最末期に投入された車両群の1つです。15年前にCambridgeに住んでいた時は、この姉妹形式であるクラス365によく乗っていましたので、私が一番慣れ親しんだモデルです。前面デザインもインバーターも更新されていないのが嬉しいです。

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で、発車案内を見たら"CHARTER TRAIN"と書いてあったので、何か変わった車両が来ると思って待っていたら、Belmond British Pullmanという旧型客車を使用した豪華列車が現れました。先頭と最後尾の67形ディーゼル機関車は2000年製の新しい車両ですが、中間は1920-30年代に製造された古い客車を大規模改修したものです。かつてお召列車にも使われていた客車もあるそうです。中からはお金持ちのお年寄りが何人も降りてきました(笑)
この会社はVictoria発着のツアーを中心に販売しているようです。ちなみに安いものだと日帰りで1人300ポンドくらいから乗れるらしいので、JRの豪華列車よりは若干割安かな?いや十分高いか。


カンタベリー観光後は、市中心部から15分ほど歩いて西駅へ。東駅だと城壁を歩いて城址や市中心部にすぐ行けますが、西駅だとチェスのルークのような門があるなど、これもこれで楽しいものでした。

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西駅からはロンドンに行く列車が日中毎時3本ありますが、それぞれ経路と所要時間が大きく異なります。西駅からVictoria行はほとんど各駅停車なので所要2時間余り、Charing Cross行も大して変わらず2時間弱。St Pancras行は高速列車なので58分ですが、運賃が異なるので注意が必要(乗車後に差額を払うことは出来ず、即不正乗車になります)。個人的には、西駅なら高速列車を使わない手はないと思います。普通列車で2時間もかけるならバスに乗ったほうがずっと良い。

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西駅で発車を待つVictoria行のクラス377。直流用電車ですが、交流区間乗り入れ用にパンタグラフの準備工事が施されています。最近のイギリスの車両は、形式名の付け方が非常に分かりにくく、何をもって別々の番号にしているのかよく分からない。一応電機品と編成出力が違うらしいですが、イギリス人の鉄道ファンもあまり理解できていないとのこと。

ここでカンタベリーとはお別れ。日立製の高速車両クラス395に乗車してロンドンへ。デッキ無の固定クロスシートで、特急用にしては簡素な造りですが、乗った時の感覚(音や振動)は日本の新幹線とあまり変わりませんでした。往復切符(レールカード割引適用)で5ポンド弱余分に出した価値はあったと思います。ただ、Ashford Int'lまでの在来線区間は100km/hというノロノロ運転で意外に思いました。専用線路に入った後は225km/hまで速度を上げましたけどね。

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St Pancras Int'lで1枚撮影。イギリスの駅は大体照明不足なのですが、この駅は非常に新しいこともあってまだ夜の撮影に耐えうると思います。去年や先月は別の日立製新型車両(クラス800)がトラブルを起こしたとニュースになっていましたが、こちらのクラス395は非常に評判が良いようです。快適だし、遅延が少ないですからね。


今回はこれでおしまい。旧型客車から最先端の高速鉄道まで、一通り揃った一日でした。鉄道写真撮影が物理的に難しいこの国で、旅行ついでにカメラを構えた割には、意外とこっちも収穫があったなぁと思います。

国鉄を代表する特急形の撮影

サマータイムは昨日で終わり。最高気温も1桁となり、いよいよ冬が始まりました。今週末は寒いし雨も降っているので、お出かけは断念。ということで、先週末に撮影した鉄道写真でも載せることにします。狙いは、East Coast Main線を走る長距離列車。ここでは主にLondon King's Cross~Leeds・York・Edinburgh・Glasgowといった北部方面への長距離列車が多く走ります。日本で言えば東海道本線に匹敵する最重要路線であり、便宜上記事タイトルで特急と書きました。


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まず撮ったのは、Grand Central社のクラス180気動車。日産の企業城下町Sunderlandから3時間半ほどかけてKing's Crossへ向かいます。一日8往復ほどこちらに来るものの、元々在籍数も少ない上に編成も5両と短いことから、比較的影が薄いイメージです。黒を基調とした塗装が格好良くて、私は好きなんですけどね。

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本命の一つ目はInterCity 125。編成両端にいる43形ディーゼル機関車が、9両のマーク3客車を挟んでいます。1976年の登場当時は、ディーゼルでは世界で始めて200km/h走行を達成したとして話題になりました。かなり古い車両ですが、現在もまだ第一線で活躍しています。いずれ他の路線の塗装も見てみたいところです。

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もう1つの本命はInterCity 225。91形電気機関車が9両のマーク4客車を牽引又は推進し、この路線の主力として活躍中。写真は推進運転中で、先頭は運転台が付いた客車です。日本ではあまり見られない形態ですし、この状態で200km/h出すというのも面白いです。こちらは1988年の登場でInterCity 125よりは若いですが、それでも新しくはありません。

East Coast Main線では、InterCity 125や225を使用した長距離列車が、日中は概ね毎時3本程度運転されています。従って、これらの写真を撮るのは実に容易です。両者の運用は一応固定されているらしいのですが(225は非電化区間に入れない)、出発駅を見てもよく分からないし、更に遅延で通過順がシャッフルされているので把握は不可能でした(笑)
なお、日立製の新型車両が間もなく投入されることで、これらの国鉄形車両は置き換えられる予定です。

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ちなみに、中距離列車も撮りたかったのですが、複々線の外側を走る上に雑草がどこも酷かったので、早々に断念しました。残りは全てInterCityばっかりなので割愛します。あれ、そう考えるとバリエーションに乏しいのな。


こちらでは基本的に鉄道写真を撮らないことにしていましたが、周囲に最大限注意を払ってやってみることにしました。やはり、たまにはカメラを持って出かけたいのです(笑)
ただ、ロンドン近辺での鉄道写真撮影は、東京近郊よりも難しい印象です。理由としては以下の2つがまず思いつきます。
第一に、多くの駅は構造上障害物等で撮影に向いていないほか、踏切や線路際の道路が非常に少なくて駅間での撮影も場所が非常に限られます。車両全てを覆うほどのガーダー橋も多いです。都市部であっても、雑草もあまり刈られていません。
第二に、大都市近郊というのはどこも治安が悪く、ロンドンにも危険なエリアが少なくありません。人通りが消えると、昼間でもかなり怖い。そういう恐怖を覚えない日本人が時々いますが、それは向こう見ずなだけで、単に頭が悪いのです。

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ということで、ロンドン近郊の旧型通勤電車の撮影は諦め、地方へ出かけた時にちょこっと撮る程度になりそうですね。
ま、今後もたまには息抜きがてら写真撮影を試みたいと思います(笑)

英国の鉄道事情(National Rail)に関する留め書き

※個人的なメモ書き程度のまとめなので、理解が不十分で内容が不正確な箇所があるかもしれません。
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(1)運営方法

 基本的に設備・車両の保有と運行を一社が担う日本と違い、イギリスでは全てが分かれている。現在National Railのブランドを使うイギリスの鉄道の大半を占めるのは、元々国鉄の路線であったが、1994年から1997年かけて段階的に民営化された。現在は施設をNetwork Rail社(運輸省管轄の公社)が保有・整備し、Angel Trains等の会社が車両を保有して運行会社にリースし、Virgin Trains等の運行会社は一定期間の営業権を入札で獲得している。フランチャイズ契約は基本的に数年間なので、更新されないと運行会社が変わり、その度に車両側面の外装が変わる。
 入札自体はイギリス政府からの補助金の少なさをベースとしているため、運賃が安くなることはないばかりか、むしろ高止まりしている。しかも多数の会社が入り乱れるため、効率化には程遠く、遅延や運休は日常茶飯事で、争議行為も頻発している。民営化直後は大事故が頻発したが(例:Ladbroke事故Potters Bar事故)、近年は比較的落ち着いている。
※Ladbroke事故は、まるで三河島事故を彷彿とさせる内容であった。日本人鉄道ファンとしては、このような事故が20世紀末期に起きたこと自体が信じがたい。Potters Bar事故は線路の整備不良による脱線事故だった。保線の不手際が原因の死亡事故は散発的に発生している。


(2)動力事情

 豊富な石炭資源が仇となって無煙化が遅れたことから、電化率は未だに著しく低い。更に政権交代の度に国鉄の政策が変更され、労働党政権時に電化計画が定まったものの、保守党政権下で白紙撤回された例も多い(Birmingham–Peterborough lineなど)。結果として、電化率は旧国鉄路線で未だに4割を切っており、他の先進諸国に大きく水をあけられている(日本は7割弱)。そのため気動車が多く、日本では少ない電気式気動車及び電気式ディーゼル機関車が発達している。更に長距離列車用の一部にはバイモードと呼ばれる車両があり、これは電気式気動車をベースとしつつ、電化区間ではパンタグラフを使用する。電化方式は、基本的には架空電車線交流25000V・50HZだが、ロンドン近郊からイングランド南西部にかけては第三軌条750Vとなっている。交直両用電車は、パンタグラフと集電靴の両方を装備する。


(3)車両事情

 軌間は1435mmで新幹線や京急と同じだが、車両は日本より若干長く、1両当たり概ね23mくらいである。なお、幅や高さは日本とほぼ同じ。基本的にイギリスの鉄道車両は前面を警戒色にすることが定められているが、前照灯に高輝度LEDを採用した車両は特例が認められるとのこと(但し現在はまだごく僅か)。国鉄時代に製造された電車や気動車は客車の設計を基にしている例が多く、前面は真四角平らでデザインが良く似ている。
 電車の駆動方式として特筆されるのは、日本ではJR及び大手私鉄からとうに姿を消した吊り掛け駆動が未だ多く残っていることである。轟音を立てながら最高速度160km/hを出す姿も珍しくない。制御方式は抵抗制御、チョッパ制御、GTO-VVVF制御、IGBT-VVVF制御があり、ここは日本と大差ない。ちなみに私は、チョッパ制御は地下鉄以外で見たことが無い。なお、動力分散方式を長年採用してきたためか、編成中の動力車は日本より同じか少ない印象で、旧型車両でも1M3Tを組む例がある。
 扉は片側2か所が基本。車内は原則全てクロスシートで、ドアはボタン式半自動である(プラグドアが多い)。立体交差が主で日本より踏切の数が非常に少ないことから、どの車両も日本より最高速度は高く、多くの場合160km/hとなっている。
 電車及び気動車の場合、車両の番号は基本的に6桁程度の数字を用いる。ハイフンなどはなく、6文字連ねるか3文字ずつに分けてある。規則性が無いわけではないようだが、パターンを把握するのは非常に難しい。国鉄~National Railの車両は、頭3桁が形式名となっており、動力によって番号帯が使い分けられている。
 新車の投入等で置き換えられたからと言って、直ちに廃車を意味するわけではない。他の運行会社に貸して、他の路線に転用されるケースが多いからだ。解体かと思われた車両が、全く意外な場所へ転属するケースも多く、しかも電車から気動車に改造されたり、旅客用から貨物用に回されるなど、日本では考えられない転配も時折行なわれる。ちなみに、車両の寿命は概ね30年から40年程度とされている。


(4)切符事情

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 一応速達列車や各駅停車といった一定のパターンは存在するが、日本のような「普通列車」や「特急列車」という厳密な種別の区別はない。特急券という概念もなく、基本的に有効な乗車券があればどの列車に乗っても良い。車内放送や旅客案内設備は日本と比べて非常に貧弱なので、乗車前に停車駅の案内をよく確認する必要がある。
 運賃は時間帯や時期によって大きく異なる。平日ラッシュ時は割高で、土休日は大幅に安くなるケースも多い。したがって、バスの方が一見安く見えたとしても、バスステーションへの行き帰りにかかる時間及び費用を加味すると、鉄道を利用した方が良い場合も少なくない。ちなみに自動券売機の信頼性は低く、紙幣を飲み込んだまま切符を出さないことも多いため、有人の窓口で買う方が無難。
 ロンドンのように、同じ街に複数の駅がある場合は、どのルートでどちらの駅を使っても良い場合がある(もちろん一定の範囲内で)。但しHigh Speed 1を走行する高速列車については、運賃が別体系となっている。High Speed Trainを使えるかは券面に記載がある。なお、いずれの場合も、基本的に途中下車は出来ない。


(5)運行事情

 列車の遅延は15年前と比較して改善されたとはいえ、まだまだ定時性には難がある。設備故障が頻発するのみならず、「仕業検査の遅れ」「乗務員不足」といった、日本では考えられないような理由で運休になることも多い。更に、発車間際になるまで着発番線が表示されなかったり、突然変更されたりすることもザラである。最近はインターネット上に運行情報がリアルタイムで載るので、以前よりは格段に情報を手に入れやすくなった。なお、30分以上遅れた場合は後で払い戻しを受けられるサービスもあるが、手間がかかるのであまり割に合わない。
 この国では、保線工事による計画運休が非常に頻繁に行なわれる。最も目立つのはロンドン地下鉄およびOvergroundだが、National Rail各線でも時々発生する。また、ストライキによる終日運休も多い。いずれも、ウェブサイト上に「今週の予定」が告知されるので、常に確認しておかないと思わぬところで立往生することになる。


(6)撮り鉄事情

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 日本と比べると、鉄道写真撮影の難易度は高い。踏切の数が少なく、フェンスが低くて線路際に近寄れる場所も少ない。ホーム端でカメラを構えようにも、ガーダー橋のある駅が多い。都市部であっても雑草などの手入れがされていない場合も多く、障害物も少なくない。ロンドンのターミナル駅の場合は、大抵ホームが大きくカーブしており、バルブ撮影を試みても編成全体が入らない。遅延が常態化していることも当然マイナスに響く。
 ロンドン市内を始め、主要駅では自動改札機の設置が急速に進んでおり、ホームで写真を撮るのは15年前より難しくなった。しかも、大きな駅ではホーム別に自動改札機が設置されていることが多い。ロンドン近郊だとオイスターカードの時間制限が厳しく、すぐに罰金を引かれてしまう。したがって、一見割高でも紙の切符を買った方が安くつく(紙の切符に入出場の記録は付かない)。入場券は10p程度とかなり安いが、最近は取り扱いを廃止した駅も多く、まだ残っている駅でも有人窓口で買わなければならない。そして、この入場券は自動改札機を通れない代物なので、毎回近くの駅員に通してもらうよう頼む必要がある。したがって、それなりの英語力が要求される。
 なお、イギリスの鉄道ファンは日本の鉄道ファンよりも写真を撮るのが下手。Googleで検索をかけても、先頭2,3両だけが変な角度で写った悲惨な写真ばかりがヒットし、たまに良さそうな編成写真を見つけてサイトを覗いてみると、日本人が撮ったものというパターンが多い。撮影環境の厳しさが影響しているのかもしれないが、それにしてもレベルが低い。
 日本みたいに「ドン曇り」「串パン」「面串」「ホームが写っている」等いちいち気にしていると、何も撮れなくなる。短期間で車両の塗装がコロコロ変わる国なので、何でも良いからとりあえずカメラを向けよう。妥協するのも大事。



2018.11.10追加
2018.12. 3追加
以下加筆予定
プロフィール

KHKQ

Author:KHKQ
横浜→東京→多摩→倫敦
京急を中心に広く薄く撮影
鉄道趣味はお休み中…なのだが?

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