COVID-19 crisis

2月まで、日本は中国に次いで世界で2番目に感染者が多い国でした。ダイヤモンドプリンセス号の検疫が功を奏するどころか火に油を注ぐ結果となり、世界中から非難を浴びました。現在でも、検査件数が少ないことを批判する声が一部の国・メディアから聞かれます。もっとも、これには賛否両論あるようで、医者ではない私には分かりかねます。
しかしながら、イタリアを中心とする西洋諸国での蔓延ぶりを見ると、あちらの国々は東洋での感染拡大を漫然と眺めるのみで、結果的に有効な対策を講じなかったことの報いを受けているのだと言って良いのではないでしょうか。医療制度の違い等もあり一概には言えませんが、政府や関係機関のみ限らず一般市民の意識が低いことが、今回の惨事に拍車をかけているのは間違いないでしょう。
さて、私は7月頭に行なわれる予定の学位記授与式に向けて、イギリスの情勢をフォローしてきました。しかし、情勢は予想以上に悪く好転の兆しが見えないことから、渡英を断念することにしました。その理由、先月までは「日本人が入国拒否される恐れがあるから」だったのですが、今はイギリス国内の問題になってしまいました。

NHSは、「ゆりかごから墓場まで」という有名なスローガンの下で設立され、イギリスが世界に誇る社会保障だったのですが、今やサッチャー政権下の暗黒時代に逆戻り。患者の負担はゼロでも、診察してもらえないようでは意味がありません。金持ちはプライベートに行けば良さそうに見えますが、こちらもパンク寸前の医院は多いのです。
イギリスの新型コロナウイルス感染者数も既に600人に達し、5月から6月にピークを迎えると予測されています。私は、NHSの惨状に鑑みてこれより早く終息するどころか、夏まで尾を引きずるのではないかと懸念しています。既に大陸では数百人規模が集まるイベントの禁止令が実施されており、イギリスでもこれに追随する可能性は高いですから、学位記授与式も中止になるのではないかと思っています。
仮に式典が中止にならないとしても、問題はまだあります。外出が規制されたり、そうでなくても商業施設等の営業時間が短縮されたりして、事実上の行動制限を受けるかもしれません。最も恐れているのが、日本の外務省がイギリスへの渡航制限を発令したり、帰国者を隔離して2週間の検疫を課したりすることです。これは何が何でも避けたいと思っています。

以上を考えると、今回の渡英は見送らざるを得ないとの結論に達しました。この状況でなお敢えて行く理由が見つからないのです。もちろん、5月までに特効薬が開発され脅威が去るなら別ですが、残念ながら見込みは薄いでしょう。
それにしても、こうして見ると日本は今のところヨーロッパ各国と比較しても随分マシだということが分かります。時折「日本は先進国ではない」と寝言を言う輩がおりますが、客観的に見てそんなことは全然ありませんね。

今回の新型コロナウイルスは、夏になっても勢力を弱めることなく拡大が続くという予測もあります。新型肺炎関連のニュースに触れるたびにストレスが溜まりますが、治療薬が開発されるか終息するまで何とか乗り切らなければなりません。現在留学中あるいはこれから留学する方々の心労は大変に大きいものかと推察しますが、どうかくじけることなく健康に注意して頑張って下さい…。
リハビリテーション
気づけばイギリスを去ってから早くも2週間が経過し、平穏無事(無味乾燥)な日常生活が戻ってまいりました。しかし、頭では分かっているつもりでも、未だ適応するのに苦労している事柄もあります。ということで、今日はプチ・カルチャーショックを幾つか。
【わるいこと】
<1. 信号機>

イギリスでは、信号が赤だろうが青だろうが消灯していようが、車が来ていなければお構いなしに道を渡ります。人によっては来ていても渡ります。これは何もイギリスに限った話ではなく、大抵の国ではみんな信号を守りはしません。日本人以外で律義に青信号を待つのは、せいぜいドイツ人くらいではないでしょうか。

しかし日本では、仮に全く車が来ないことが明らかな場合でさえ、基本的に青信号になるまで歩きません。大通りの脇にある小道ならまだしも、片側二車線の国道を渡った日には白い目で見られてしまいます。正直時間の無駄としか思えず、無言の同調圧力が息苦しく感じます。
<2. 現金社会>

これは以前にも書きましたが、日本は未だ現金決済が主流。私がイギリスにいた頃はデビットカードによるコンタクトレス(非接触)決済ばかりを使っていたので、下手するとATMに行くのが月に1度でした。従って、定期的にお金を下ろしに行くのが非常に苦痛であります。

日本では交通系ICカードをキャッシュレス決済のメインとして扱う傾向があるようですが、これには致命的な問題点が一つ。それは、既存のクレジットカードを使ってチャージ出来ないということです。ビューカードを使ったりオートチャージを設定したりすれば話は別ですが、今持っているカードが使えないのは非常に不便。結局ATMに行って野口先生を呼び出さなければなりません。こんなのキャッシュレスとは言えないと思います。
QRコード決済も使い始めましたが、コンタクトレス決済に慣れている身からすると、いちいちスマホのアプリを立ち上げることすら面倒くさい。デビットカードを軽くかざせばすぐに支払いが終わったあの日々が懐かしい…。
<3. 湿気>

イギリスでもやたら暑い日が数日ありましたが、今は最高気温が15~20℃ほど。対して東京は今なお30℃前後。まだまだ暑い日が続いております。
私が帰国した頃は猛暑の盛りを過ぎており、最高気温が20℃台後半~30℃程度。数値だけ見れば、ロンドンと大きく違わなかったので、体調を崩すことはありませんでした。しかし、最低気温が20℃台前半と高く、湿度が70~85%の日々が続いたため、じわじわと体力を削られました。分かっちゃいたんだけど、体全体にまとわりつく水蒸気が鬱陶しくて仕方がない。カラッと気持ち良く晴れる日はいつ来るのでしょうか…。
【よいこと】
<4. 電車>

「電車が時刻通りに走る」というのは実に素晴らしい。イギリスでは10分20分の遅延などザラで、運休や30分以上の大幅な遅延も毎日のように発生しています。また、発車3分前にならないと着発番線が表示されないのもかなりのストレスでした。ロンドンなどのターミナル駅では、数十人~100人以上の乗客が中央部分の電光掲示板を見上げ、ホームが確定すると民族大移動…という光景が数分おきに展開されています。

日本では、基本的に「定刻」以外はあり得ないので、発車案内に到着見込みを示す欄はありません(JR西日本管内などは別にして)。乗換案内の示す通りに目的地へ到達出来るということの素晴らしさ、高い予測可能性がもたらず安心感…地味に見えても非常に大事なことです。
<5. バリアフリー>

バリアフリーという点では(も)、日本より著しく遅れているイギリス。地下鉄の駅も階段が主流で、このような薄暗い・狭い・急と三拍子そろった螺旋階段も。エスカレーターやエレベーターがあっても、ホームのある高さまで届かないケースが多く、結局は階段を上り下りする羽目に。

エスカレーターも故障や工事で使えないことがあり、こうなると完全にお手上げ。私は帰国の日、40kg弱の荷物を抱えて地下鉄に乗ろうとしたところ、下りエスカレーターが塞がれていて絶望しました。Northern線への迂回を試みるもしっかり階段があり、結局改札口からホームまで10分以上かかました。一度改札を入場したら出るわけにはいかないので、半泣きで荷物を運んだのでありました。
その点、日本ではエレベーターが普及しているので、大きな荷物を持ったままにっちもさっちも行かない…なんてことはまず起きません。アクセシビリティという点では、この国はかなり進んでいると思います。
<6. 大気汚染>

日本の空気はとってもきれい。ロンドンではCongestion Charge(渋滞税)を年々引き上げて自動車の量を抑制しようとするものの、空気は全然良くなりません。都心部でも公園が多くて比較的マシな地域もある一方で、一部では北京より酷いと言われる始末。最近ではUltra Zero Emission Zoneなるものが導入されましたが、果たしてどうなることやら。

地上の空気はもちろんのこと、地下鉄の車内も快適です。ロンドン地下鉄は、非冷房なのは仕方ないとしても、日本に比べると恐ろしく空気が悪く、30分乗ると鼻の中が真っ黒になるレベル。ま、日本と比べたら大抵の国が汚い方に分類されるでしょうけどね。
<7. 食べ物が豊富>
帰国翌日にスーパーへ行って驚いたのは、食材が非常に豊富なこと。久しぶりに日本のスーパーに足を踏み入れたところ、野菜も果物も魚介類も物がたくさんあり過ぎて、あまりの情報量の多さに頭が混乱したくらいです。自宅近くのスーパーを数軒見たところ、いずれも総菜もイギリスのどの店とも比べ物にならない豊富な品揃えで、そのすごさに圧倒されました。
乳製品やヨーロッパ産のハム類など一部を除き、どれも手頃な価格というのも嬉しい。平均収入が違うため単純な比較は出来ませんが、ロンドンの物価は大変に高かったので、どれを見ても「安い」「美味い」と感激してしまいました(笑)
…せっかく1年間体重を完全にキープしていたので、目方が増えないよう気を付けたいところです。こわいこわい。
こんなところでしょうか。他にも、治安が良い(ごく一部の例外を除き、どこに行っても夜間安心して道を歩ける)、Suicaの反応速度がオイスターカードより格段に早い、総菜などのパッケージを開けるのがとても楽、エスカレーターを歩かせてくれない等々、細かいところは色々ありますが、主なところはこんなものでしょう。
悪い点も幾つか挙げましたが、全体的に見れば日本の方が住み良いのは間違いありません。これは、私が日本で生まれ育ったということもありますが、やはり細かい心遣いが行き届いているのは間違いなく日本の方だと思います。イギリスも快適な国だとは思うものの、やはり自国が一番気楽に過ごせますね(笑)
【わるいこと】
<1. 信号機>


<2. 現金社会>


QRコード決済も使い始めましたが、コンタクトレス決済に慣れている身からすると、いちいちスマホのアプリを立ち上げることすら面倒くさい。デビットカードを軽くかざせばすぐに支払いが終わったあの日々が懐かしい…。
<3. 湿気>

私が帰国した頃は猛暑の盛りを過ぎており、最高気温が20℃台後半~30℃程度。数値だけ見れば、ロンドンと大きく違わなかったので、体調を崩すことはありませんでした。しかし、最低気温が20℃台前半と高く、湿度が70~85%の日々が続いたため、じわじわと体力を削られました。分かっちゃいたんだけど、体全体にまとわりつく水蒸気が鬱陶しくて仕方がない。カラッと気持ち良く晴れる日はいつ来るのでしょうか…。
【よいこと】
<4. 電車>


<5. バリアフリー>


その点、日本ではエレベーターが普及しているので、大きな荷物を持ったままにっちもさっちも行かない…なんてことはまず起きません。アクセシビリティという点では、この国はかなり進んでいると思います。
<6. 大気汚染>


<7. 食べ物が豊富>
帰国翌日にスーパーへ行って驚いたのは、食材が非常に豊富なこと。久しぶりに日本のスーパーに足を踏み入れたところ、野菜も果物も魚介類も物がたくさんあり過ぎて、あまりの情報量の多さに頭が混乱したくらいです。自宅近くのスーパーを数軒見たところ、いずれも総菜もイギリスのどの店とも比べ物にならない豊富な品揃えで、そのすごさに圧倒されました。
乳製品やヨーロッパ産のハム類など一部を除き、どれも手頃な価格というのも嬉しい。平均収入が違うため単純な比較は出来ませんが、ロンドンの物価は大変に高かったので、どれを見ても「安い」「美味い」と感激してしまいました(笑)
…せっかく1年間体重を完全にキープしていたので、目方が増えないよう気を付けたいところです。こわいこわい。
こんなところでしょうか。他にも、治安が良い(ごく一部の例外を除き、どこに行っても夜間安心して道を歩ける)、Suicaの反応速度がオイスターカードより格段に早い、総菜などのパッケージを開けるのがとても楽、エスカレーターを歩かせてくれない等々、細かいところは色々ありますが、主なところはこんなものでしょう。
悪い点も幾つか挙げましたが、全体的に見れば日本の方が住み良いのは間違いありません。これは、私が日本で生まれ育ったということもありますが、やはり細かい心遣いが行き届いているのは間違いなく日本の方だと思います。イギリスも快適な国だとは思うものの、やはり自国が一番気楽に過ごせますね(笑)
留学生活の総括 前編







イギリス滞在中には、趣味も色々楽しむことが出来ました。鉄道趣味については別に紹介するとして、旅行と郵便ポスト撮影などを楽しむことが出来ました。



こんな感じで、留学生活はなかなかに楽しいものでした。もっとも、「もっと長くこの国にいたい!」という気持ちはあまりなくて、「まあこんなものだろうな」程度の感慨しかありません。来たければまた戻ってこられると考えているのが大きな理由だと思います(笑)
鉄道趣味については、もう1本別に記事を起こします。
ウェールズ旅行

写真はたくさん撮りましたが、全部載せるわけにもいきませんから、一部だけここに上げてみます。実際に見た時の感動をカメラでは再現できないのが惜しい。
【1日目 Cardiff】
Cardiffはロンドンから電車で2時間ほどの距離にあり、本数も毎時2本程度とアクセスしやすい都市。ここはまた来るチャンスがあるだろうと考え、宿から近い超有名どころを押さえるだけに留めておきました。





【2日目 Llandudno】



【3日目 Conwy】





【4日目 Llanberis】
最終日はローカル線と路線バスを再び乗り継いでLlanberisへ。この小さな村を走る、2つの観光鉄道に乗りに行きました。なお、この村があるGwynedd地方は、ウェールズ語の話者が特に多い地域で(人口の3分の2以上)、地元の人たちの会話は何一つ聞き取れませんでした。もっとも、私に対しては綺麗な英語で話すので、特に問題は生じませんでした。



帰りはLlanberisからBangorまで1時間ほど貸切状態の路線バスに乗り、Creweで乗り換えてロンドンに帰りました。Creweでは予定より1本早い電車に間に合ったので、予定より1時間ほど早く帰宅。ちなみに、私の乗るはずだった列車は最終的に70分遅れて午前1時前にEustonに着きましたので、本当に危機一髪のところでした。
ウェールズは、スコットランドとはまた違った文化圏で、町中の看板や道路標識など至る所でウェールズ語が使われており、イギリスながらあたかも違う国に来たかのようでした。もっとも、ウェールズの人はきちんと英語を喋りますし、私の顔を見てウェールズ語を解すると期待する人など誰もいるはずがありません。コミュニケーションをとるのに困ることは全くありませんでした。
ウェールズの旅行は、車が無いと移動が制限されますが、公共交通機関を駆使しても意外に楽しむことが出来ます。昔と違って、今はGoogleマップで路線バスの時刻表まで全て出てきますから、本当に楽になりました。留学生活の終盤、本当に良い思い出が出来ました。
ところで、Cardiffを中心にしてウェールズを走るナショナルレールも撮ってきましたので、その写真は次回載せたいと思います。
Huntongdonへ








とりあえずこれで再訪したい場所は一通り見ることが出来ました。帰国まであと3週間弱!